元 仙台フィル 三上恭伸氏からレッスン&メンテナンスレポートが届きました!
元仙台フィルハーモニー交響楽団 打楽器奏者 三上恭伸氏より詳細なレポートを送っていただきましたので以下に紹介いたします。
「吹奏楽コンクールも地区大会が各地で始まりましたね。先日も指導している高校からティンパニヘッドの交換依頼がありました。その団体が今年取り組んでいるのが、課題曲「レトロ」と、自由曲「ブリュッセル・レクイエム」。
さて、ティンパニヘッドとして私がセレクトしたのは”カスタム”ヘッド。REMOの代表的なプラスチック・ヘッドですね。このモデルのクリアなアタック、明るいサウンドはキレッキレのアタックが要求される「ブリュッセル・レクイエム」にぴったりです。
一方、多くの学校が使用しているREMO”ルネッサンス”ヘッドはオーケストラの弦楽器と相性が良く、弦楽器のアタックと馴染みます、吹奏楽でオーケストラの編曲された曲を演奏するのなら、いわゆる本皮に近いサウンドといえるこの”ルネッサンス”をお勧めします。今やティンパニヘッド1枚で安価なスネアドラムを購入出来てしまう程にヘッドの価格が高騰していますので、曲に適したヘッドを選ぶことが最終的には賢明な選択だと考えています。
さあ、次はドラムセット。
課題曲に「レトロ」を選択した団体のドラマーはアドレナリンが吹き出ていることでしょうね。
まず!コンクール、課題曲に取り組む際に、もしかしたら何年も、いや、自分の歳より長く張っているタムヘッドで演奏していませんか? 上を目指している学校であれば、本番に備えて新しいヘッドに交換するのは当然の事。
そして部活動の限られた時間内であっても、日常は自分で楽器の掃除や手入れをしつつ、必要に応じてヘッドの交換作業を行っていただきたいです。
同様に、今使っているペダルがグレードが低いと感じたら、バイトしたり、親に頭下げて納得の行くペダルを購入する方法もあります。要は楽器に愛情を持つ事が大事です。
これとはまったく逆の発想にはなりますが、亡くなった名ドラマー、ボンタさんは演奏前の「儀式」で、ナメんなよ!と、ドラムにケリを入れてから演奏したと本人から聞きました、これは「ドラムセット」という大きな楽器機材と直面しても決してひるまず、気合を入れるという意味のたとえかとは思いますが、心意気がカッコイイですね。
最後に「ドラマー」ではない私からとして、以下が最低限のコメントです。
ドラムセットをやるのにリムショットの知識がない、知らない、または不得手なドラマーもいます。
「レトロ」は中間部がクローズドリムショット、最後がドラマーの命をかけたオープンリムショット。
使用するスティックは硬く明るくドライサウンドのヒッコリー、そしてウエイトバランスをチップ寄りにしたパワーを発揮出来るものを使用して下さい。
またその他、コンガは8ビートと16ビートの基本パターンをしっかりマスターする事。そして、ビブラフォンについては、外国製は音板の金属が日本製と違います。外車と国産車、ボンネットやドアを叩くと金属の違い、分かりますよ。上を目指すなら是非外国製で演奏して欲しいです。」
今回のポイントをあらためてまとめると。。
●ティンパニヘッド:カスタムとルネッサンスヘッドの違いを紹介。
●ドラムセット用ヘッド:消耗したタムヘッドは交換をご検討ください。
●しっかりしたバチ選びとリムショットを研究しましょう (レトロ)
●コンガの8・16ビートの基本をマスターしましょう。(レトロ)
以上、間もなくコンクールのハイシーズンを迎える現場よりレポートいただきました!