ゆうや/Why do you play Pearl?
大盛況のまま幕を閉じた SID 15th Anniversary GRAND FINAL at 横浜アリーナ ~その未来へ~では、パーカッションをはじめとする様々なアプローチで楽曲に彩りを与えていたゆうや氏。シドという唯一無二のバンドにおいて常に”進化”を続けているゆうや氏の、Pearlドラムを使い続ける”理由”を聞いてみた。
パールスタッフ(以下:Pearl)Pearl Drumを使い出したキッカケは何ですか?
ゆうや:Pearlを使い出したキッカケは、ズバリ言うと五十嵐公太さんですね。学生時代は友達同士でよくカラオケに行ったりしてて、音楽がすごく流行っていた時代だったのでCDをたくさん聴いたり好きなアーティストもいっぱい居たんですよ。その中でもJUDY AND MARYがすごく好きで、そのドラムの人がPearlの青っぽいセットを使ってて、それがすごくカッコイイなと思ってました。だから一番最初に買ったドラムセットもPearlのBRXシリーズのセットで、シドの初期の頃はずっとそのセットを使ってましたね。公太さんがツーバスだったからツーバスのセットを買ったんですよ。8”/12”/13”のタムと16”/18”のフロアタムのツーバスセットで。ただ、公太さんのセットと被りすぎると照れちゃうから、緑っぽい色のセットにして…。でも最初にコピーしたのは、JUDY AND MARYの曲じゃなくて友達から誘われてやらされた他のアーティストの曲だったんですけどね笑。やっぱり自分でバンド組んで自分のやりたい曲をやりたいなと思って、JUDY AND MARYのコピーバンドを組みましたね。女の子ヴォーカルだから探すの大変だったなぁ。
Pearl:最初から多点セットだったんですね!ゆうやさんといえば8インチと12インチのタムの並びが印象的ですが、その狙いは何でしょう?
ゆうや:元々パーカッシブな鳴りが好きで、ドラムセットの中にもそういう要素のものをたくさん組み込んでます。例えばウインドチャイムだったりコンガ、ボンゴとか。そういうメロディックで軽やかなサウンドというか”繋がりの悪さ”が好きなんですよ。サウンドがいい具合に分離しているというか…。だから8”/10”とか10”/12”とかだと音が繋がっちゃうから、8”/12”の並びにしたかったんですよ。でもバスドラムやフロアタムはスタンダードなサイズですね。スタンダードなセットの中だからこそ、8インチのタムが抜けて聴こえるのかなと思ってます。だからずっと8インチは使い続けてます。なんか好きなんですよね。全く違うところにいる音が。
※3/10の横浜アリーナ公演で使用されたドラムセット。Masters Maple Reserveの”MRS”を使用。ピアノブラックという名称のカラーを採用し、ゴールドパーツフィニッシュとも相まって重厚感のあるルックスに仕上がっている。
Pearl:ゆうやさんの楽器を選ぶ基準を教えてください。
ゆうや:機材はしょっちゅう変わる時もあるから、これに関しては間違いなく”自分の中の旬”ですね。その中でもCSコーテッドのヘッドとかは長く使ってるから好きなんだろうなってのは感じてるけど、それ以外のスネアのチョイスに関しては本当に”旬”です。5半が好きになったり深胴が好きになったり本当にいろいろあるから…。ここ最近はゆうやモデルを使ってるんだけど、なんか気になるスネアがあったりすると試したいなぁと思ったりする時が訪れちゃう。浮気がちですよね笑。飽きてくるというか、ずっと同じ音で安定し過ぎてると物足りなくなってくるんだろうなって思います。
今メインで使ってるMastersのセットも、たまたま何処かのレコーディングスタジオでメイプル材のセットを叩いた時に、シンプルでめちゃめちゃいいなって思ったのがキッカケだったんです。実はそれまでオールメイプル材のセットをメインで使ったことが無くて、1つ前はカーボンプライメイプルだったし、もう1つ前はReferenceだったし…。俺らはライブハウスだけじゃなくてホールとかでもライブをやるから、生音だけじゃなくてマイク乗りのことも考えてReferenceやカーボンプライメイプルをチョイスしていたこともあったんだけど、一番メジャーなメイプルを使ってこなかったことに気づいて、実際使ってみたらすげーいいなって…。Mastersは素直だから本当に自分のカスタム次第というか、ミュートの仕方やヘッドのセレクト、もしくは叩き方なのか、それがすごく”出やすい”気がします。カーボンプライやReferenceはセット自体に癖があって、それもそれで良いんだけど、Mastersは自分の癖がそのまま出てくれるから、いろいろ試したい自分の性格にも合ってる気がしますね。
Pearl:ゆうやさんはアクセサリーの試行錯誤も頻繁にされている印象があります。
ゆうや:試行錯誤というか自然と考えちゃうんですよ。例えばフロアタムだと、どうやったらスカスカの音じゃなく、しっかりと身もあってアタックもしっかり得られてスピードも遅くならない、回らない音を出せるんだろうってずっと考えてて…。チューニングだけじゃないなこれは、と思って、フロアタムの裏のヘッドにいろんなサイズの穴を空けてワンツアー回ってみたりしたけど、胴に音が広がる前に散っちゃうというか、少し物足りなくて…。フロアタムのいらない部分の音を調整するには下のミュートがすごく大事なんです。ヘッドの跳ね返りをどこまで抑えるかで、音の点が見えやすくなるなってずっと思ってて…。それで今はアウトサイド・マフラーをフロアタムのボトムヘッドに取り付けるようにしてて、すごく良くてずっと使ってます。ガムテープと違って叩いた瞬間のヘッドが動く瞬間だけを止めてくれるから、揺れをコントロールできるというか…。それは俺の中でも一番の閃きでしたね。
※足下からのショット。フロアタムのボトム側のフープにアウトサイド・マフラー(OM-1)を取り付けている様子。ボトム側のヘッドを意図的に抑えることで、余分な振動を制御する狙いがあるという。
Pearl:最後にドラマーの方々にメッセージをお願いします。
ゆうや:自分が憧れたアーティストと同じメーカーの楽器を使うのはお勧めかなって思いますね。その人の音になりやすい近道っていうのは、やっぱりそういうところがありますよ。例えば街のスタジオとかでセットとかスネアとかいろいろ選べるとしたら、憧れのアーティストが使っているメーカー、シリーズを意識してみるのもいいんじゃないかなって思います。
あとやっぱり生ドラムをたくさん叩くっていうのが一番大事ですよね。でも中々叩ける環境もないじゃないですか。だから俺はよく楽器屋さんの試奏室で叩いてました。たくさん試したい楽器を見つけて、めちゃくちゃ叩いてみて、そこで気づいたことも多かったです。あと、試奏室によっては他の人が演奏している後ろ姿が見えたりするから、上手い人が叩いているのを見てその人の叩いてるフレーズを盗んだりとかしてね笑。今みたいにネットに情報が回ってないしライブビデオか教則ビデオくらいしか情報が無い時代だったから、とにかく情報がほしくて…。だから今ネットで気になる情報があれば全部見た方がいいと思うし、楽器屋に行ってそれを試奏室で試せば良いと思いますね。